これからのエンジンのトレンドは『ライトサイジング』?ダウンサイジングとの違いを徹底解説

 
欧州車の中小型車は小排気量エンジンに過給器をプラスした「ダウンサイジング」が今や当たり前。国産車もその流れを追随する動きが見られますが、最近新たに「ライトサイジング」が登場しました。この2つどこが違うのでしょうか?今回は違いを徹底解説します。

ダウンサイジングとは?

ダウンサイジング

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ダウンサイジングとは、既存の大排気量NAエンジンとほぼ同程度の出力とトルクを小排気量エンジンにターボ、あるいはスーパーチャージャーといった過給器をプラスすることで実現しようというものです。しかも、排気量を少なくした分燃費効率の向上も同時に狙っているため、単に排気量を小さくするだけではなく過給器とセットの場合が殆どです。他に「ダウンサイジングターボ」や「過給ダウンサイジング」などと言うこともあります。

初期のダウンサイジング

実は国産車においても、以前からこのコンセプトは存在し1990年代頃マツダ「ユーノス800(ミレーニア)」が「ミラーサイクルエンジン」を初搭載しています。こちらは2.3リッターV6DOHCエンジンに過給してする形で採用され、最高出力:220ps、最大トルク:30.0kg/mという数値を出していました。ちなみに当時でも2リッターターボエンジン車であれば同程度のエンジンスペックはありましたが、違いは燃費は2リッターNAエンジン並を狙っているところにあります。

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ダウンサイジングの流行

欧州では2005年に1.4リッターTSIエンジンを搭載したフォルクスワーゲン「ゴルフ」が「ダウンサイジング」のパイオニア的存在です。なんとこのエンジンはスーパーチャージャー+ターボの「ツインチャージャーシステム」を採用していて、低速域はスーパーチャージャーで、高速域はターボで過給というものです。これにより全回転域で高いレスポンスと、低燃費を実現するという画期的なものでした。この後「VW」を含め「BMW」「ベンツ」「アウディ」といったドイツ勢を中心に開発・採用が進み「ダウンサイジング」がトレンドになっていきます。

ライトサイジングとは?

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「ライトサイジング」はマツダが打ち出した「ダウンサイジング」に対するアンチテーゼコンセプトです。「ダウンサイジング」のように小排気量+過給器に頼るのではなく、ボディの大きさに合わせた「適正」なエンジンサイズで必要なパワーと燃費向上を狙うもので、マツダは「6気筒を4気筒にするなら意味があるが、4気筒同士のダウンサイジングには意味を見出さない」という見解を示しています。「ダウンサイジング」は低負荷時は燃費効率が良いですが、中高負荷時はさほど良くないのが欠点。そこでマツダは「ライトサイジング」によって全域で適正なパワーと低燃費を実現させるという方法をとったのでした。

前述したように「ミラーサイクルエンジン」でマツダはすでに「ダウンサイジング」を実用化していました。その経験から「ライトサイジング」にたどり着いたのではないでしょうか。その後、マツダは過給無しで圧縮率を高めた「スカイアクティブテクノロジー」でさらに進化した「ライトサイジング」に取り組んでいます。

アウディの追随

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また最近になって「アウディ」も「A4」に2リッターに過給器付きエンジンを搭載するなど、「ライトサイジング」に追随する動きを見せています。マツダのように過給器無しではありませんが、フォルクスワーゲングループの一角が動き出したということは、その可能性を探っていると伺えます。

日本国内の現状

日本国内では「トヨタ」や「ホンダ」を筆頭に「ハイブリッド」車が主流です。電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせることで、十分な走行性能と低燃費を実現しています。価格帯も購入しやすい金額になり、かなり普及してきました。また、ゴー&ストップを繰り返す日本の交通事情ではエンジンに中高負荷を強いることが多いので、「ダウンサイジング」の恩恵を十分受けられないのではという指摘もあります。そういった事情もあって、急いで「ダウンサイジング」を研究・開発する必要性がないというのが正直なところです。

それでも、2014年にスバル「レヴォーグ」が1.6リッターターポエンジンを搭載し、その後1.5リッターターポのホンダ「ステップワゴン」、トヨタも1.2リッターターポエンジンを「C-HR」に搭載するなど、徐々に「ダウンサイジング」の車も増えつつあります。ただし、まだパワーや燃費面では苦しい状況で、開発途上といったところです。

トヨタ プリウス

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「ライトサイジング」がこれからのトレンドになるのか?

欧州での「ダウンサイジング」、日本国内での「ハイブリッド」、当面この路線は大きく崩れることはないと考えられます。ただし、欧州では今後排ガス規制が更に強化されるとの見方もあり、更にクリーンなエンジンに、パワーと燃費のバランスが求められる傾向は変わらないでしょう。加えて日本国内においても2018年10月から、これまでの「JC08モード」に変わる新燃費基準「WLTPモード」が採用される予定です。これにより更に「カタログ燃費」と「実燃費」の差が縮まることが予想され、益々燃費効率の追求が求められることになります。

「ライトサイジング」陣営はまだまだ少数派ですが、マツダは今後も「ライトサイジング」を突き詰めていく姿勢は崩していませんし、「ダウンサイジング」や「ハイブリッド」に頼らなくても、まだまだエンジンを含め、車両全体に改善の余地があると見込んでいるのでしょう。規制環境や技術革新によってトレンドは左右されると考えられますが、今のところ「ダウンサイジング」と「ライトサイジング」、どちらの技術が優れているかは分かりません。ただ「ライトサイジング」はもちろん、「ダウンサイジング」もまだまだ進化の過程であると言えます。今後の動向を注意深く見守って行く必要があります。

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