アストン・マーティン DBシリーズの歴史を振り返る(前編)

独特の雰囲気を持ち、ボンドカーとして何世代にも渡り登場したアストン・マーティン・ラゴンダ社の人気シリーズ「DB」モデルについて、その歴史をROAD & TRACKの特集と共に振り返ってみます。
「DB」は、1947年から1972年までアストン・マーティンを所有していたDavid・Brownの頭文字に由来しているのは有名な話です。
また、映画「007」シリーズにはDB5などが何度も登場しています。

2リッタースポーツ(DB1)

アストンマーティンDBシリーズ
販売:1948年〜1950年
デイヴィッド・ブラウンが経営するようになって最初に発売されたのが、こちらの「アストン・マーティン 2リッタースポーツ」です。公式にDBを名乗ったモデルではありませんが、その発売時の経緯などからDB1の愛称で呼ばれています。
この車はコンセプトカーである「アストン・マーティン アトム」をベースに作られており、鋼管スペースフレームのシャーシに直列4気筒2リッターエンジンを搭載しています。登場後には早速、レースにも参戦し、1948年のスパ・24時間レースを制しました。
生産台数はわずか15台、目にすることすら困難なモデルです。

DB2

アストンマーティンDBシリーズ
販売:1950年〜1953年
公式に「DB」が車名につけられた最初のモデルがDB2です。搭載エンジンとしてDOHCヘッドを持つ直列6気筒2.6リッターユニットの他に、2リッタースポーツに搭載された直列4気筒OHV 2リッターユニットも搭載可能でした。
この2シーターのモデルをアストン・マーティンは「スポーツ・サルーン」と呼んでいます。
1949年には先行開発車がル・マン24時間レースに参戦しています。参戦した3台には1台に2.6リッターユニットが、残る2台には2リッターユニットが搭載されています。レースでは2.6リッターユニット搭載車が開始から6時間でウォーターポンプの故障によるオーバーヒートでリタイヤに追い込まれながら、2リッターユニット搭載車が最終的に7位でフィニッシュしています。残り1台の2リッターユニット搭載車も残り2時間まで4位を快走しながらブレーキトラブルでリタイヤしたことを考えると、2.6リッターユニットについては高いパフォーマンスを誇りながら、補機類のトラブルとはいえ全体的な信頼性が不足していたようです。しかしながらその後のレースでは熟成が進み、スパ・24時間レースでは3位フィニッシュを飾るなどの成績をおさめています。
DB2は1950年4月のニューヨーク・オートショーにて披露され、その後3年間で411台が製造されています。最初の49台と、その後のモデルではフロントグリルの構成などが異なりました。
1950年後半にはオープンモデルである「ドロップヘッドクーペ」をラインナップに追加しています。このモデルは102台が製造されています。
エンジンについてはカムプローフィールの変更、高圧縮比、大口径キャブレターの装着などを行った初めての「ヴァンテージ・アップグレードオプション」が用意され、出力も105馬力から125馬力に向上していますが、当時は高オクタン価のガソリンの入手が困難だったこともあり、そのパフォーマンスを発揮するのに難渋したようです。
クーペもオープンモデルも美しいことには変わりありませんが、クーペモデルの滑らかなルーフラインがより魅力的に感じます。

DB2/4

アストンマーティンDBシリーズ
販売:1953年〜1957年
1953年に登場したDB2/4はDB2のホイールベースを延長することでリアに2座のシートを追加したハッチバックモデルをラインナップに加えています。
ホイールベースはDB2の2,500mmから15mm延長、車体全長は4,130mmから4,305mmへと伸ばされています。
このモデルには増加した車重や乗車定員に対応するためDB2ヴァンテージに搭載された125馬力の2.6リッターユニットを搭載しています。その後、1953年9月にはまず2+2ハッチバックモデルに、1954年4月にはドロップヘッドクーペに2.9リッターユニットを搭載しました。このVB8Jエンジンは出力も140馬力に向上し、最高速も193km/hに達しました。総生産台数は761台となっています。

DB MkⅢ

アストンマーティンDBシリーズ
販売:1957年〜1959年
1957年に登場したDB2/4 MarkⅢは一般的にDB MarkⅢと呼ばれています。ホイールベースが2,515mmと、DB2/4と同じ長さとなる車体にはSUキャブレターを搭載した2.9リッター 162馬力の直列6気筒“DBA”エンジンが搭載されています。オプションのデュアルエキゾーストシステムを装着した場合には、出力は178馬力まで向上します。
更に、組み合わせられるキャブレターなどが異なる、オプション仕様のDBDエンジン搭載車では180馬力、DBCエンジンでは195馬力の高出力を実現しています。
それだけではなく、特別なDBCエンジン搭載車も1台だけ製造されています。このエンジンはレース用のカムシャフトやコネクティングロッド、9.5:1の高圧縮比を採用し、それに3基のツインチョーク型ウェーバー製 45 DCO3キャブレターを組み合わせることで、214馬力へと更に出力を向上させています。
そしてDB MkⅢの最大の特徴ともいえるのがフロントグリルのデザインです。このモデルで初めて採用されたこのデザインは、現代まで続くDBモデルのアイコンとなりました。

DB4

アストンマーティンDBシリーズ
販売:1958年〜1963年
1958年に完全新設計のモデルとして登場したのがDB4です。同年のロンドン・モーターショーで初披露されたこのモデルは、ミラノのカロッツェリア・ツーリングによる軽量フレーム”スーパーレジューラ”を採用しています。これは、チューブラー・スペースフレームの上にアルミニウム製の外板パネルを組み合わせています。このモデルはそれらの大きな改良を含めた外観デザインと内部構造の両面で話題を呼びました。
エンジンには直列6気筒3.7リッターのタデック・マレックのデザインによる新設計のものが選ばれています。彼はアストン・マーティンの前はフィアットやゼネラル・モーターズにて経験を積み上げてきました。
この新エンジンにはオーバーヒート傾向がありましたが、SUツインキャブを搭載したモデルでは240馬力を発揮しています。当時は世界最速の1台としても数えられたほどです。

DB4GTザガード

アストンマーティンDBシリーズ
販売:1960年〜1963年
また、DB4は2つのユニークなバリエーションを持っていたことでも知られています。1つは高性能な軽量モデルであるDB4GTで、1959年9月に登場しています。搭載するエンジンは排気量3.8リッターのバージョンも用意され、最高出力は302馬力、最高速は246km/hを誇りました。DB4GTは75台が製作され、そのうち19台がDB4GTザガードにモディファイされています。これは初めてのザガードとのコラボレーションモデルであり、その目的はデザイン面でもフェラーリ以上を目指したものでした。実際にそのスタイルはフェラーリに対抗しうる流麗さを持っており、今日では1億5千万円以上の高値にてオークションなどで取引されています。

DB5

アストンマーティンDBシリーズ
販売:1963年〜1965年
アストン・マーティンを代表する1台といえば、こちらのDB5ではないでしょうか。この車は1964年に映画「007:ゴールドフィンガー」にてジェームス・ボンドの愛車として初登場すると、その後も多くの007シリーズに登場しています。
オールアルミニウム製のエンジンは排気量を4リッターまで拡大し、それに3基のSUキャブレターを組み合わせることで282馬力の出力を発揮しました。また、ギアボックスとしてはZF製の5速マニュアルミッションも選択可能でした。
バリエーションとしてはクーペの他に、ウェバー製のツインチョーク 45DCOE サイドドラフトキャブレターを3基装備するなどし、出力を315馬力に向上させたDB5ヴァンテージが1964年に発売され、合計65台製造されています。
その他にもコンバーチブルと、コーチビルダーの手によりシューティングブレークも製作されています。
2012年にダニエル・クレイグの主演で公開された映画「007:スカイフォール」にもDB5が登場しています。その際には銃撃を受け、最終的に爆破されました。少し悲しげに見つけるボンドが印象的でしたが、実際には3分の1の大きさに作られたレプリカだそうです。レプリカでも良いので欲しいです。

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